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かん水に関する補足資料

■ボーメ度
ボーメ度とはボーメ比重計にて液体の濃度を測ったときの数値です。ボーメ比重計は純水(15℃)に入れた時に水面と一致する点を0ボーメ度とし、10%食塩水(15℃)に入れた時を10ボーメ度としてこの間を10等分し、この上下に同間隔で目盛りを刻んだ計器です。(10%の食塩水が10ボーメ度)
かん水もこのボーメ度で濃度を測っていますが、かん水10%液が食塩水10%溶液と同じく10度とはなりません。食塩の場合は温度に対してほとんど溶解度が変化しないという特性がありますが、かん水の場合はとけている固体の性質が違うため、配合の違いでボーメの出方が変わります。しかしながら、かん水の濃度はボーメ度で一般的に用いられています。
◎ボーメ計の購入先:東京都中華麺製造協同組合など

■粉末かん水溶解液温とボーメの関係
かん水溶解液の温度が変化するとボーメの出方も変わります。
基準ボーメ(15℃) 5℃ 30℃
6.0 6.3 5.7
7.0 7.2 6.8
8.5 8.8 8.2
*数値は資料のグラフから読み取ったおおよその値です。
*単位は重量ボーメ度

■炭酸カリウムと炭酸ナトリウムの溶解度差異

■かん水
製麺で使用するかん水は、食品添加物として食品衛生法で規定されています。固形かん水と液体かん水がありますが、固形かん水は「炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸類のカリウム塩もしくはナトリウム塩のうち一種もしくは二種以上含むもの」、液体かん水は「固形かん水を水に溶かしたもので比重が1.20〜1.33でなければならない」と定められています。
固形かん水(粉末状)は、一般的に炭酸ナトリウム主体で一部炭酸カリウムが配合されたもので、液体かん水は溶解度の関係で炭酸カリウムが主成分となる高濃度かん水となります。

成分的には炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどの塩基性塩に第二リン酸塩、第三リン酸塩などを配合したもので、一般的には麺のコシを出すために入れられますが、実際に麺のコシを出すのはリン酸塩のみであり、塩基性塩は麺のコシには寄与しないようです。塩基性塩は、皆さんおなじみの中華麺独特の麺の苦味・匂いの原因になったり、中華麺の黄色い色も実は塩基性塩によって小麦の中のフラボン、フラボノールなどのフラボノイド系色素が塩基性環境に晒されると6員環上のH基やOH基が置換されて黄淡色に発色するのだそうです。


■リン酸二次製品
炭酸カリウムの補助剤としてよく使用されるリン酸塩類は、麺の粘弾性を増す(コシを出す)ために用いられますが、その種類もかなり多く存在するようです。その他変色や乾燥、酸化防止や保水効果の役割もあります。
リン酸ナトリウム塩 用  途
リン酸二ナトリウム
無水/Na2HPO4

食肉結着剤、染色助剤、PH調整剤、清缶剤、金属表面処理剤、かんすい原料、緩衝剤

リン酸三ナトリウム
無水/Na3PO4

食肉結着剤、染色助剤、PH調整剤、清缶剤、金属表面処理剤、かんすい原料、緩衝剤

ピロリン酸ナトリウム
結晶/Na427・10H2O

酸化防止剤、分散剤、かんすい原料、染色助剤、イオン封鎖剤

ピロリン酸ナトリウム
無水/Na427

食肉結着剤、かんすい原料、染色助剤、清缶剤

トリポリリン酸ナトリウム
Na5310

食肉結着剤、かんすい原料、安定剤、洗剤ビルダー、清缶剤、イオン封鎖剤

テトラポリリン酸ナトリウム
Na6413

食肉結着剤、かんすい原料、安定剤、洗剤ビルダー、清缶剤、イオン封鎖剤
メタリン酸ナトリウム

食肉結着剤、かんすい原料、安定剤、清缶剤、イオン封鎖剤、防錆材、表面処理剤

リン酸カリウム塩 用  途

リン酸二カリウム
K2HPO4

水溶性肥料、バイオ薬剤、発酵助剤、PH調整剤、排水処理剤、かんすい原料

リン酸三カリウム
K3PO4

PH調整剤、かんすい原料、イオン封鎖剤、石油化学触媒

トリポリリン酸カリウム
K33O10

食肉結着剤、かんすい原料、洗剤ビルダー


■キレート作用
カルシウムやマグネシウムを多く含む水でかん水を溶くと、これらがかん水と反応し沈殿物(白濁現象)を生じることがあります。縮合リン酸塩類には微量の多価金属と錯イオン(金属イオンに陰イオンや分子が配位結合したイオン)形成する働きがあり、これにより白濁は抑制されます。炭酸カリウム主体のかん水には補助剤としてリン酸塩類が配合されているので、かん水を水に溶した時に白濁しないのです。
通常食品に含まれる多価金属や重金属は微量で変色や酸化の原因となり食品の価値を著しく低下させることから、このキレート作用を利用して酸化・変色防止するために縮合リン酸塩類が添加剤として使用されます。

■かん水の代替品
かん水の代わりにカルシウムを含有する天然物(卵殻・貝殻等)を焼いて作られた焼成カルシウム(成分は水酸化カルシウム)が使用される例があります。焼成カルシウムは強いアルカリ性を示し、中華麺に使用した場合にはかん水と同様の効果があります。焼成カルシウムは天然物なので仕様基準がなく、中華麺に使用することが出来る。ただし食品衛生法の表示で一括名「かんすい」に焼成カルシウムはないので、表示するときの用途名は「アルカリ剤」とすることが必要です。
またベーキングパウダーも代用品のひとつとなります。ベーキングパウダーには炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)が25%含まれ、水に炭酸水素ナトリウムを溶かすと炭酸ガス(CO2)が発生し炭酸ナトリウム(Na2CO3)水溶液ができるそうです。その他、昔は藪や椿、椎、サトウキビを燃やした灰の灰汁を使用していました。


★参考資料★

オリエンタル酵母工業株式会社「かんすい」
木曽路物産株式会社「蒙古王かんすい資料」
旭屋出版「ラーメンの調理技術」
ラーメンワンダーランド(ラーメンのひみつ) http://www.seimen.co.jp/wonderland/index.html
ラサ晃栄株式会社HP(製品案内) http://www.rasakoei.co.jp/
キリン協和フーズ(旧武田キリン)株式会社(品質改良剤) http://www.kirinkyowa-foods.co.jp/index.html





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