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「とっちゃんらーめん」開店準備 -その3:塩ダレの塩について-
【参考資料】塩の情報室ホームページ→ http://www.siojoho.com/
■塩ダレの材料■
塩ダレを作る際、鰹節や煮干、干し椎茸、昆布、白醤油などタレに風味(奥行き?)を与える為に使用しています。達人のなかにはスープの味に誇りと自信を持ってあえてタレを使わず塩だけで味付けする方も多くいらっしゃいます。塩ダレにするか塩一本で行くか賛否両論ありますが、いずれにしても「塩」の選定が塩ラーメンの味を左右することに間違いはありません。以下では美味しい塩としてご紹介戴いたいくつかの塩について、その性質や味の評価をしてみたいと思います。
塩には精製塩、自然塩、海塩、岩塩などがあり、その性質や製法の違いによって区分されていますが、今回は7種の天然塩(再製自然塩)の中から自分の好みを見つけてみたいと思います。



シママース自然海塩
沖縄の海水塩「自然海塩」は、熊本の「いっぷくラーメン」店主・ラーテンさんから戴いた塩です。熊本ラーメンは豚骨が命、そのスープの味を生かすのが秘伝の塩ダレです。3ヶ月間試行錯誤されて完成した基ダレには、この塩が使われています。基ダレを味見させて頂きましたが、お湯で希釈しただけなのに旨味があってとても美味しかったです。買うと500g/\950です。
福塩
中国福建省の塩です。こちらは北海道帯広の達人、「麺茶寮みやざき」店主・みやざきさんから教えて戴いた塩です。化学調味料を使っていない「アジシオ」のような味と表現されるほど、まろやかで旨味のある塩だそうです。含有する微量ミネラルの多さがこの味の秘密です。500g/\700。
天外天塩
内モンゴル自治区アルシャンメイ吉蘭泰(ジランタイ)の湖塩から生まれたこの天外天塩は、塩湖底表面の塩の花(結晶)を掬い上げ精製しています。
阿蘇のファームランド内の自然食品売り場で購入しました。600g/\380。
■天日塩■
内モンゴル自治区アルシャンメイ吉蘭泰(ジランタイ)の湖塩から生まれた自然塩。湖に溜まった塩を掬い上げ天日干にしたものです。やはり阿蘇のファームランド内の自然食品売り場で購入しました。600g/\380。
■岩塩■
かつて海だったモンゴル平原の一億年以上昔の地層から採掘された岩塩です。これも阿蘇のファームランド内の自然食品売り場で購入しました。300g/\400。
伯方の塩
伯方の塩は、海水を自然の風と太陽熱で蒸発結晶させた輸入塩を日本の海水で溶かして原料とし、ミネラルをほどよく残した塩です。以前からこの塩を使用していましたので、味の評価ではこの塩の味を基準としてみました。1Kg/\320。スーパーではもっと安く買えますね。
瀬戸のほんじお
備前・岡山の海水を原料とし、「膜法」により海水中の塩分を濃縮していきます。この「膜法」は正式にはイオン交換膜電気透析法と呼ばれ、陽イオンしか通さない膜(陽膜)と陰イオンしか通さない膜(陰膜)を交互に配置して電気を流すと濃い塩水ができるシステム。純国産の塩となります。価格不明。伯方の塩と同等程度と思います。


■塩の「味」について■
塩の味ってどんな味?…と突っ込まれると答えに詰まってしまいますが、調べてみると塩の味は以下の様にあらわすことができるようです。

鹹味塩

塩化ナトリウムの純度がきわめて高く、他の塩類がほとんど含まれていない塩。直線的な鹹味(しおからみ)しか感じられません。この典型的例が精製塩。現在の日本に存在するほとんどの塩は程度の差はありますがこの部類に属します。


苦味塩
相対的に硫酸マグネシウムと塩化マグネシウムの多い塩。しおから味とともにかなり強い苦味が感じられます。特に硫酸マグネシウムが多いと後口まで苦く感じます。

甘味塩
相対的に硫酸マグネシウムと塩化マグネシウムの多い塩。塩辛い中にもマイルドな甘みが感じられます。塩化マグネシウム自体は苦いが、少量だと後口が甘く感じられます。

酸味塩
相対的に塩化カリウムの多い塩。鹹味(しおからみ)と供に舌にしみるような酸味(すっぱみ)が感じられます。純度を下げたイオン交換塩がこの部類に属します。塩化カリウムが多すぎると、塩としては変な味になります。塩化ナトリウムを塩化カリウムに代替えしている減塩指向の超純度塩は、塩の味としては変な味がします。

美味塩
塩化ナトリウムの純度があまり高くなく、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウムのバランスがとれている塩。塩辛い中にもほのかな苦味、甘味、酸味が感じられて、総合的に美味といえます。
 

これを調べる前に「利き塩」を実施してしまったので、今回の評価は(塩辛さ)(甘味)(旨味)という3つをチェックしました。言われてみると(苦味)も味の違いに大きく影響しますが後の祭りとなってしまいました。また(旨味)という評価基準はかなり曖昧で、単に店主の主観?で点数をつけました。


「利き塩」方法
@塩の希釈
約80℃のお湯 100cc に各塩 15g を入れ、およそ13%の塩水を作る。

A出汁、スープそれぞれにブレンド
約60℃の出汁又はスープ 45cc に 5cc の各塩水をブレンドして味見。
出汁は昆布と宗田節・花かつお節で出汁をとったものです。スープは開店準備その2で作ったスープストックを使用しました。
■伯方の塩■
日頃から使っていた塩なので味になじみがあるというか、違和感がありません。今回はこの伯方の塩の味を基準に各塩の味を採点して見ます。 
■シママース自然海塩■
ラーテンさんオススメの天然海水塩です。粗塩に見られる湿ったような感じのする塩です。出汁よりスープに合わせたときにその旨味(まろやかな甘さ)が目立ちました。豚骨スープに合う塩だなぁと実感しました。 
■福塩■
こちらも天然海水塩ですが、7種類の塩の中では一番「やわらかい」塩だと感じました。塩のとげとげしさがまったくなく、何も加えずにこのまま単独で使ってみたい塩ですね。油っこい料理の味付けに良いかもしれません。粒子は粗く、よく見ると結晶の大きさにバラツキがあります。
■天外天塩■
塩湖塩を使った精製塩で他の塩に比べるときめが細かくサラサラしています。伯方の塩より少し塩味が強く尖った感じがしました。旨味は特に感じませんでした。 
■天日塩■
不純物(泥)があり、写真のようにお湯に溶かすと赤っぽい泥のような粒子がコップの周りに付着します。見た感じも他の塩に比べ赤身かかっています。塩辛さが一番弱い感じがしました。 
■岩塩■
やはり不純物が多く、なかなか溶けません。他の塩とは用途も違うと思われます。塩辛さは一番強く、特に旨味は感じませんでした。 
■瀬戸のほんじお■
値段の割りに使えそうだったのがこの塩です。自然海塩や福塩には及びませんが、甘味・旨味を感じさせてくれる塩です。出汁に合わせたときとスープに合わせた時で味が変わる塩でもありました。 
大雑把な評価で何を結論付けるか戸惑うところでもありますが、塩によってこんなに味が違うとは正直なところ思っていませんでした。またデータにまとめてはいませんが、複数の塩を組み合わせることで味を創作できる(大袈裟ですね)こともわかりました。
ブレンドの組合せとしては、
(自然海塩と瀬戸のほんじお)あるいは(福塩と伯方の塩)が店主好みの味かなぁと考えるところです。







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