正弦波インバータ・・・

インバータとは車内でAC100V電源機器を使用するときに、直流DC12Vのカー電源を交流AC100Vにする変換器です。このインバータには正弦波(サイン波)と擬似正弦波(矩形波)の2種類がありますが、精密な周波数を必要とする医療機器で使用できるものは正弦波インバータとなります。当社で使用する正弦波インバータは歪みが非常に少ない高精度な正弦波形で、信頼性の高いものです。正弦波インバータを謳う中には高調波ノイズ、スイッチング電源のメカニカルノイズが発生してしまう安価な物もあるので注意が必要です。
*電菱(COTEK社のOEMブランド)は自社サイトに「人工呼吸器 機器対応一覧表」を掲載しています。
*ちなみに使用しているテーブルタップは病院でよく見かける緑色の3P抜け止め、トラッキング火災予防機能付き3Pプラグ仕様の2個口タップです。

☆おまけ☆
インバータを保護するため(大変高価なので…)、ヒューズをバッテリーと本体の間に設置しました。ヒューズBOXはメーカーから専用の部品を取り寄せましたが、現物が届いた時その大きさにビックリ!クワガタのようなこの巨大なヒューズとプラモデルでも飾れそうなヒューズBOXが届きました。クワガタヒューズは50Aでその容量にも驚きましたが、計算してみると定格350Wでだいたい29A、サージ電力700Wだと58Aにもなるので、あぁ、このぐらいのは必要なのね…と納得。芸術的な大きさとその形を皆様にもご覧頂こうか?と、インバータの下側に「ピカーッ!」と並べて取り付けました。
(旧ブログ2014年06月26日記事の転載)

痰吸引器・・・

平成24年4月から今まで医療行為とされていた痰の吸引等の行為が、「社会福祉士及び介護福祉士法」の一部改定によって一定の条件下で可能となりました。具体的に言うと①痰の吸引(口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内部)②経管栄養(胃ろう又は腸ろう、経鼻経管栄養)が対象範囲となり、受ける研修内容(第1号~第3号研修)によって範囲全て或いはその一部が実施可能になります。(介護福祉士は平成27年度/平成28年1月の国家試験から本内容全てが含まれる為、これ以降行為可能となります。)
厚生労働省:喀痰吸引等制度について

では、介護タクシー赤とんぼの私がこの研修を受ければ痰吸引が出来るのか?という訳には参りません。まず医療関係者の下で安全に痰吸引等の行為が実施されるように連携体制が可能でなくてはなりません。したがって特養や老健などの介護施設、あるいは在宅介護を支援する事業所等に在籍する介護職員であることが必要になります。
AEDの様に誰でも安全確実に使用可能な痰吸引器があれば話は変わるかもしれませんが、門戸が開かれたとはいえ、まだまだごく限られた専門家の仕事であることに違いありません。

ということで、現状では痰吸引器・吸引カテーテルの機材を常備し医療従事者・吸引可能なご家族等に有償にて貸出・ご提供しています。
吸引カテーテルは10Fr(黒)・12Fr(白)・14Fr(緑)を常備しています。

(旧ブログ2014年06月20日記事の転載)

AED・・・

ライフパックCR Plus(フィジオコントロール社・旧メドトロニクス社)AEDを導入して丸8年が過ぎました。その間使用したのはわずかに1回だけですが、非常に身近なところに救命現場があるということが身にしみてわかりました。心肺停止した方を一刻も早く蘇生することにこのAEDは無くてはならないものです。
またAEDには心電図解析機能が備わっていて、そのデータ(心電波形+操作ログ)を吸い上げ(機種、メーカーの違いでそのやり方はまちまちですが…)て医師がその後の治療に役立てることも出来ます。
現在車載しているAEDの場合は、データーを吸い上げるにはメーカー(委託技術サービス会社)へお願いしなければなりませんが、迅速な対応をして頂けるのは申し上げるまでもありません。年1回(及び使用した場合はその都度)の電池・電極パットなど消耗部品は確実に交換して頂けます(メンテナンス契約による)ので、毎日のOKモニターの点検確認と合わせて保守管理は万全です。

AED操作・取扱いについては、2年毎の患者等搬送乗務員再講習の際の救命講習の他、月1回メーカー提供のDVD教材による自主学習を行って万一の時に備えています。当社ご利用の有無にかかわらず、もし救命現場の近くに当社の車両を見つけたらご遠慮なくお声掛け下さい。(当然ですが、救命行為に直接必要となった機材・備品等の使用料や人件費などは一切費用はかかりませんのでご安心下さい)

搬送補助具・・・

医療・介護搬送においては個々のケースでその状況は異なり、当然使用する搬送機材も様々です。可能な限り移送のご依頼を頂いた段階で患者様の身体状態(病状、座位可否、拘縮有無、医療器具使用有無など)や居住状況(主に自宅での住環境について、ベッドか和床など)、搬送ルート状況(戸建やマンション、廊下幅や間取り、EV有無など)その他を確認させて頂き、使用する搬送機材を選択していきます。
*必要に応じて搬送ルートなど現地下見にて事前確認させて頂く場合がございます。

☆スクープストレッチャー☆
寝たままの患者様を移動する際、例えば病院のようにストレッチャーをベッド脇に置ける極短距離移動(移乗)であれば、厚手で大きめのバスタオルと数人の介助でもOKです。ところが少し距離のある移動となると、どうしても担架等が必要になります。しかし狭い部屋や通路・階段だったり、患者様の状態(腰痛、骨折、リウマチなど)によって体が動かせない場合など、時として搬送方法に制約が加わることが往々にしてあります。その様な患者様のために、なるべく移乗時に体を動かす事を極力少なくして搬送できる特殊な担架です。二つ割りになるので寝たままの患者様を左右から挟み込むようにして体をほとんど動かす事無く装着出来ます。複数のベルトで全身を固定し安全を確保した上で移乗搬送します。

☆布担架☆
患者様が座位を取れる、または一時的に体を曲げることが可能な場合など条件付(病状で腰部にダメージがあったり骨折されて体を動かせない方には布担架は不向きです)ではありますが、狭小箇所が多く間取りに制約のある搬送において布担架を使用する場合があります。
またマンション等エレベータにトランクルームのスペースが無くストレッチャーが入らない場合にEV部分を車椅子に乗り換えて搬送するケースで、繰り返し行わなければならない移乗を出来る限りスムースに行うべく、布担架を利用することもあります。当社が常備している布担架はベルカKB-160というベルトジョイント式タイプで、身体全体で担ぐため女性や緊急時には1人でも安全に担げる構造になっています。(狭小箇所や階段での移動時は原則2人で担ぎます)

☆その他担架代用品☆
移乗距離が極短い場合、布担架代用品としてアメリカ製のバスタオルを使用することもあります。アメリカのホテルに滞在された方はお判りかと思いますが、このタオルはループを短めにして立たせ高密度に編みこむ縫製方法で作られた乾燥機をよく使うアメリカならではの堅牢で大判のバスタオルで、布担架としても十分使用に耐えうるものです。76cm×147cmと90cm×180cmの2タイプ用意してます。
また、非常用としておんぶ紐(おんぶ補助具)も常時車内に装備しています。

酸素・・・

患者様の容態変化をしっかり観察することが我々の仕事の中でいかに重要であるかを、常日頃患者様搬送の中で実感しています。医療移送となるとなおさらのことです。ある日の看護師同乗の医療搬送で、病院のベッドの上では容態も非常に安定していた患者様でありましたが、車が出発後しばらくして付き添いの看護師がバイタルチェックを行ったところ、「SpO2の値が落ちてきたので、酸素準備願います!」と指示されました。即車を安全な路側帯に止めて酸素ボンベを用意しましたが、確かに患者様の容態を覗うと、さっきより息使いが荒く過呼吸気味の様に見えました。看護師がカニューラを装着して酸素流量を設定し、5分ほど後にパルスオキシメーターの数値を確認した所、SpO2数値も元に戻り看護師からGOサインが出たところで再出発。
長く患っていると周囲環境への順応力(適応力)が弱くなり、環境変化などによって大きなストレスを受けるのでしょうか…出発前にもう一度患者様の様子をチラッと伺うと、非常に穏やかな呼吸をされておりこちらもホッとしました。

☆酸素ご利用にあたって☆
①酸素は最大500Lボンベ×3本を常備(最低ボンベ2本は常時満タン)しています。
②カニューレや酸素マスクも用意しています。
③酸素用レギュレータ(酸素設定用減圧弁流量計)は以下の2機種を用意出来ます。
■中流量:1~10L/minF.S(フロートメーター設定式)(加湿瓶取付可)         ■小流量用0.25~4L/min(ダイヤル設定式)

 

 


☆注意事項☆

酸素使用につきましては担当医師から直接または病院関係者(看護師又は担当医療
相談員等)の方から間接的に頂いた指示に従ってご提供(有償)致します。
酸素流量設定及び確認は医療行為にあたる為、同乗される医師・看護師に行って頂きます。やむを得ず医療関係者の同乗が無い場合(担当医師が同乗不要と判断された場合に限る)、搬送前に医師又は看護師に流量設定及び確認を行って頂きます。

リクライニング車椅子・・・

リクライニング車椅子とは、背もたれを可変させることが出来る車椅子で、その他付帯の機能も充実しており、標準型車椅子に比べると格段と患者様に優しい車椅子と言えます。弊社で導入している MIKI社製 Grand Fletcher / Uni_SP (ティルト・リクライニング式モジュール車椅子) は、多彩な調節機能を備えているので、長時間のご利用にもお体を疲れさせること無く快適に過ごすことが出来る介助型フルリクライニング車椅子です。操作も簡単且つ安全に行えるので初めて介助される方でも安心してご利用いただけます。(通院時、お帰りまで貸出し対応可能です)
寝たきりの患者様(簡易ストレッチャーとしてもご利用可能)から、長時間の移動または診察待ちが見込まれるときなど、患者様の疲労負担を軽減させる目的でのご利用をお勧めしています。

☆リクライニング機能☆
背もたれの角度を90~170度まで調節可能、エレベーティングフットサポートを引上げてフルフラットな状態でもご利用出来ます。

☆ティルト機能☆
座面の角度を最大0~40度まで調節可能、お尻・太ももにかかる体重を背中や腰に分散させることが出来ます。前ずれの防止にもなります。

 

☆多彩な調整機能☆
フット・レッグサポートの位置調整、エレベーティング機能、アームサポートの高さ調整、シートのテンション調整など、ご利用者様の体に合わせた細かい調整をすることで快適な座位姿勢を保つことが出来ます。アームサポートのウイング機能やフット・レッグサポートのスイングアウト機能により、スムースな移乗が可能です。またロングホイルベース、転倒防止バー、テンションバーなどにより安定性を増し安全を確保しています。

☆医療移送に必要な装備について☆
標準車椅子同様、点滴用ガートル棒や酸素ボンベの取付が可能です。

車椅子いろいろ・・・

無償貸出用の車椅子は、用途に合せて介助式又は自走式の標準型車椅子4種(台)を用意しています。(写真右)ここで紹介している「標準型車椅子」とは、病院等で見かける、ごく一般的な車椅子を指します。リクライニングやチルトなどの機能はついていません。
「自走式」の車椅子は車輪が大きく、またその車輪にハンドルがついていて、ご自身で車椅子を動かす事も可能です。一方「介助式」車椅子は車輪が小さく、付添いの方の操作で動かすタイプとなります。

☆介護タクシー赤とんぼ機材内訳☆
①自走式標準車椅子・・・1台
・座幅40cm・ハンドブレーキ無し
②介助式標準車椅子(常時車両搭載)・・・1台
・座幅40cm・ハンドブレーキ付き
③介助式標準車椅子(狭小タイプ)・・・1台
・座幅38cm・肘掛跳ね上げ式・ハンドブレーキ付き
④介助式標準車椅子(骨折等で足が曲げられない方用)・・・1台
・座幅40cm・肘掛跳ね上げ式・脚部エレベーティング&スイングアウト仕様

②の車椅子は常時車載しております。それ以外はご予約時にお申し付け頂ければご用意致します。また付属オプション(無償)として以下の装備品があります。これらは①~④全ての車椅子に取り付け可能です。これらも事前にお申し付け下さい。

○酸素ボンベ用架台又はバッグ・・・500L酸素ボンベ用
○点滴棒・・・点滴しながら通院・転院が必要なとき
○安全ベルト・・・ずれ落ち防止用
○ヘッドレスト・・・首のすわりが悪い方等
○50mm又は35mm低反発クッション(常時設置)
○ひざ掛け(春夏・秋冬それぞれ用意しています)

もちろん車椅子を安全に使用するために、貸出前の事前点検を行っています。
点検項目としては①タイヤの空気圧のチェック②ブレーキ効き具合チェック③ガタツキ(螺子の緩み有無など)チェック④シートや背もたれのチェックを毎回実施しています。

ストレッチャー仕様について・・・

当社で使用するストレッチャーは、救急隊が使用しているものと同仕様のファーノ社製高機能ロールイン型ストレッチャーで、ストレッチャー部とトランスポーター(架台)部に分離します。上部のストレッチャー部は、担架として使用できる他、ワンタッチで椅子型(チェアーポジション)にもなり狭い場所でも取扱いが可能です。また、バックレスト(上半身側)とフットレスト(下半身側)の角度調節が可能で、患者様の病態に合わせて体位管理を行う事ができます。

車載時はストレッチャー前後の固定装置でしっかり安全確保しています。また架台の足が折り畳まれますので、一般的なストレッチャーに比べ車床から低い位置で安定した状態が保たれており、横揺れや振動が軽減され患者様への負担が少なくなる様設計
されています。さらに当社オリジナル仕様にて、専用ウレタン25_largeマットレスと40mmの特注低反発マットレスをWで敷いているので、寝心地が良く長時間の搬送も快適に過ごせます。寝具類も極寒期(12~2月)は冬山登山でも使用されているダウンレイヤー(羽毛の掛布団)+毛布(場合によってフリース敷き毛布併用)を、春秋期(3~6・9~11月)には春秋用羽毛掛布団+毛布(場合によってタオルケット)、夏季(7,8月)は夏掛け布団+綿毛布(またはタオルケット)という様に季節によって使い分けています。
また冬場は車の暖房を利用してストレッチャー内を強制的に暖めるなど、ヒートショックに備え対策しております。